「小麦アレルギーは、小麦さえ除去すればいい」
名前からしてそう思われがちですが、実は小麦以外の麦を除去している人はたくさんいます。
「グルテン」という小麦タンパクに免疫が反応してしまうのが小麦アレルギー。
でも実は小麦・大麦・ライ麦のタンパク質がそれぞれ同じような形をした部位があるため、小麦アレルギーの人が大麦やライ麦を摂取してしまうと、交差反応を起こす場合があります。
交差反応は小麦アレルギー特有の反応ではありません。
- エビアレルギーの人がカニに反応する危険率は75%
- 牛乳アレルギーの人が山羊乳に反応する危険率は92%
など、ほかのアレルギーにも同じことが言えます。
ちなみに、小麦アレルギーの人が大麦やライ麦に反応する危険率は20%なので、5人に1人は反応する可能性があるということになります。
「小麦」しか表示されない特定原材料の問題
特定原材料(とくていげんざいりょう)とは、日本の食品表示の一種で食物アレルギーの原因となる食品の使用の有無を、包装その他にて表示するものである。主に卵、小麦、えび、かに、そば、落花生、乳である。
小麦は特定原材料に指定されているため、加工品に小麦が使われていた場合、製造者にはそれを表示する義務があります。
でも表示義務があるのは「小麦」のみで、それ以外の麦は全てスルーされてしまうのが現在の表示法。
レストランのアレルギー表を見て料理をオーダーしようと思ったら、実は「大麦」が使われていた、という経験をしたことがある人は多いのではないでしょうか。
日本アレルギー学会によると、小麦は日本で3番目に多いアレルゲンになります。
1位は卵、2位は乳製品、そして3位に小麦。
年齢別にみると、子供に多い卵や乳のアレルギーも、年齢が上がるにつれだんだんと少なくなり、その代わり甲殻類や果物が急上昇。
下の図を見ると、小麦は相変わらず上位に食い込んでいるので、世代を超えて一番根強いアレルゲンが小麦だというのがわかります。
厚生労働省の情報によれば、日本の全人口の1〜2%が何らかの食物アレルギーを持っているとのこと。
現在の日本の人口は1.27億人。
総務省が行った2016年の人口推計によると、15歳以上の日本の人口は約1億1千万人。
上記「年齢別主要抗原」の表で参照している箇所は「20歳以上」なので、データの年齢の区切りに若干の差はありますが、とりあえず細かいことは目をつぶってざっくりと計算してみました。
1億1千万人(15歳以上の日本の人口)の2%(食物アレルギー人口)は220万人。
220万人いる食物アレルギー患者の中の15%が小麦アレルギーだとしたら、現在日本には20歳以上の小麦アレルギー患者が33万人いることになります(誤差あり)。
セリアックとグルテン不耐性
小麦アレルギー、セリアック、グルテン不耐性、グルテン過敏症の違いとは?
さて、ここまでは小麦アレルギーの人について書いてきましたが、私自身は小麦アレルギーではなくセリアックという自己免疫疾患を持っています。
セリアックも小麦アレルギー同様、グルテンが摂取できません。
セリアックの人はライ麦と大麦の除去も必須という研究報告があるため、私は全ての麦を除去しています。
そのため、特定原材料の表示法には助けられつつも、大麦やほかの麦が表示されないことには不便さと不安を感じているのが正直なところ。
そしてそれは、多分小麦アレルギーやグルテン不耐性の人にも通じる感情だと思います。
現在の特定原材料表示法は改善が必要
特定原材料は定期的に見直しが行われて、必要に応じて制度改正が行われています。
10年前に「えび」や「かに」の表示が義務付けられたように、全ての「麦」が表示されれば、小麦以外も除去している人にとっては、ものすごく生きやすくなるはずです。
「小麦を含む」
「麦を含む(大麦)」
というように麦の種類が記載されれば、必要な人が必要な除去だけを行うことができます。
アレルギーが「食わず嫌い」だと思われていた昔に比べれば、今は生きやすくなりました。
それでも、まだ改善の余地があるのであれば、さらに生きやすい世の中になるように、制度も変わっていけばいいなと願います。
参照情報元
おいしいグルテンフリー情報、いろいろ発信しています。