「グルテンって何?」
「どうやってグルテンフリーを始めればいいのかわからない」
この記事ではグルテンフリーを理解するために必要な情報を、わかりやすく説明しています。
私自身、セリアック病と診断されて、右も左もわからず手探りで集めた情報ばかりです。
診断当時に知りたかったこと、長いことわからずモヤモヤしたこと、失敗して学んだこと。
これからグルテンフリーを始めようと思う人にとっては、きっと役に立つ情報だと思います。
グルテンフリーにも、おいしいものはたくさんあるので、楽しいグルテンフリーライフの参考になれば嬉しいです(^^)
グルテンとは?グルテンフリーダイエットの本当の意味

一般的に「グルテン」というのは、小麦などに含まれるタンパク質のことで、グルテンフリーとは「グルテンを含まない」状態のことを指します。
日本でも一時期グルテンフリーダイエットがブームになりましたが、本来の「ダイエット」の意味は食事療法や食生活のこと。
つまりグルテンフリーダイエットとは、グルテンを除去した食生活のことで、やせることが本来の目的ではありません。
グルテンフリーダイエットの始まりは、「セリアック」の治療が目的だったため、セリアックや小麦アレルギーの人以外への効果は賛否両論。
グルテンフリーダイエットと健康・美容への効果については後ほどお話しするとして、まずは「グルテンとはなにか」についてお話したいと思います。
グルテンフリーと大麦・ライ麦・オーツ麦の関係

グルテンフリーの考えは「グルテンを除去する」という、とてもシンプルなものです。
考えはシンプルでも、実践するのにはある程度の知識と経験が必要なのがこの食生活。
きちんとグルテンフリーの食事をするためには、グルテンが何に含まれているかをまず知る必要があります。
グルテンは小麦特有のもの?大麦とライ麦のわかりにくいグルテン事情
さて、「小麦」に含まれていることで有名なグルテンというタンパク質ですが、実はとても似たタンパク質を持つ穀物に「大麦」と「ライ麦」があります。
- グルテンは小麦特有のタンパク質なので、小麦以外には含まれない
- 大麦やライ麦にもグルテンは含まれている
どちらの情報も目にしますが、一体どちらが正しいのでしょうか?
実はこれ、人によって定義が微妙に違うため、調べれば調べるほど混乱する可能性があります。
「グルテンフリー」の意味が国や機関によって違うように、「グルテン」自体にも考え方がいろいろあるので、その定義を突き詰めるのはとてもむずかしい。
ただ、これについてはむずかしく考える必要もないので、定義に関しては専門家に任せてしまいます。
ここでグルテンフリーを実践する私達が知るべきことはたった一つ。
小麦に加えて「大麦」と「ライ麦」も除去対象になり得るということです。
タンパク質の形が似ていることで体が反応することを「交差反応」といい、そのため小麦アレルギーを持つ人の多くは、大麦とライ麦も除去したグルテンフリーを行っています。
また、セリアック病の人にとっては、大麦とライ麦は除去必須の位置づけです。
オーツ麦はグルテンフリーだけどグルテンフリーじゃない?

「オーツ麦」のように国によって考えが違う麦もあります。
アメリカやヨーロッパでは、基準をクリアしていればオーツ麦を含む食品をグルテンフリーとして販売できますが、オーストラリアではオーツを含む食品をグルテンフリーとして売ることはできません。
グルテンフリーをしている人の中でも対応はバラバラなので、オーツ麦の扱いに関しては個人差があるのが現状です。
セリアック病である自分は、オーツ麦製品を食べて反応したことがあるので、基本的には避けています。
グルテンフリーと麦についてのまとめ早見表
それぞれの「麦」とグルテンフリーの関係性を表にしてみました。
麦の種類 | グルテンの有無 |
小麦 | グルテンを含むため除去必須 |
大麦 | 厳密にはグルテンではないとの考えも一部あるが、一般的にはグルテンを含むと考えられているため除去対象 |
ライ麦 | 厳密にはグルテンではないとの考えも一部あるが、一般的にはグルテンを含むと考えられているため除去対象 |
オーツ麦 | 国や機関によって考えが異なる。除去対象にするかは個人差あり |
アレルギー表示法の落とし穴とグルテンが潜んでいる原材料について

それでは、実際に生活する上で何に気をつければいいのか。
グルテンフリーをするには、原材料ラベルの確認は必須ですよね。
日本では「卵・乳・小麦・落花生・エビ・そば・かに」が、「特定原材料」として表示を義務付けられている7大アレルゲンです。
そのため、この7品目が使われていた場合はラベルに注意書きがありますが、現在のアレルギー表示法には大きな落とし穴があります。
それは「小麦」と違い「大麦・ライ麦・オーツ麦」には表示義務がないということ。
そのため大麦とライ麦がNGの人は、原材料を細かくチェックすることが対処法になりますが、実はこれにも限界があります。
グルテンフリーで気をつけるべき「隠れグルテン」
大麦の文字が原材料になかったからといって、グルテンフリーとは限らないのが少し厄介なところ。
大麦は形や名前を変え、こっそり原材料に入っていることがあります。
例えば「穀物酢」や「醸造酢」
原材料に「麦」の表示がないので一見大丈夫なように見えても、大麦が原料に使われていた場合は除去対象になり得ます。
もちろん小麦だけを除去している人は問題ありませんが、微量のグルテンにも反応してしまう人は注意が必要です。
なぜか具合が悪かったりグルテン反応が消えなかったりする場合は、知らないうちにグルテンを摂取しているのかもしれません。
ちなみに、ライ麦は国内での流通は少ないので、大麦ほど心配する必要はないと思います。
麦芽糖・麦芽エキスのグルテンフリー事情
ここで気になるのが、名前に「麦」が入っている「麦芽糖」や「麦芽エキス」といった原材料。
マルトースと表記されることもある麦芽糖は、国内ではトウモロコシやジャガイモから作られることが多く、グルテンが含まれない場合がほとんどです。
そのほかにも「麦芽」「麦芽エキス」「麦芽水あめ」など似た名前の原材料もありますが、ものによってはしっかりと小麦・大麦が使われているものもあります。
小麦であれば表示義務があるのでわかりますが、大麦にはそれがないため、ラベルを見ただけではわからないのが厄介なところ。
大麦が使われているかどうかを確かめる方法はただ一つ、製造元に問い合わせるしかありません。
手間にはなりますが、少しでも不安があるようなら、ぜひ確認してから食べることをおすすめします。
グルテンフリーの情報は危険?一番大事な考え方とは

グルテンフリーをする理由が人それぞれなように、グルテンフリーの考えにも個人差があり、国によって基準の違いもあります。
例えばおしょうゆを除去している人が、おしょうゆを気にしない人の情報をそのまま使うことができないように、「混入」を気にしない人の情報を、微量のグルテンに反応してしまう人が活用することは難しいですよね。
大事なのはグルテンフリーの情報を目にした時に、常に「自分フィルター」を通して情報を消化しているかということ。
人から与えられる情報をうのみにしないで、自分が納得したものだけを取り入れていくことは、とても大事な作業になります。
- 以前は小麦不使用だったメニューや商品の原材料が突然変わった
- 小麦が使われているのに原材料にうっかり記載漏れがあった
グルテンフリー以外にもいえることですが、間違った情報は情報がゼロの状態よりも危険です。
アレルギー情報を提供する側のうっかりミスは思うより簡単に起こりますが、グルテンフリーは経験値を積むほどその危険信号に気づけるようになります。
必要なのは、グルテンのクセを知ること。
どんな食べ物に小麦が使われていて、どんな食べ物であればグルテンフリーの可能性が高くなるかを一覧にしてみました。
グルテンフリー傾向にある食べ物 早見表
グルテンフリーの大まかな傾向を知るためのルールはたった1つ。
「素材本来の形に近いほどグルテンフリーになり、調理や加工されるほどグルテンが使われる可能性が高まる」
リストを見てもわかるように、「小麦・大麦」などの一部穀物を除けば、素材レベルでグルテンを含むものはありません。
そのため、グルテンフリーの細かなクセがわかるまでは、なるべく素材自体を楽しむ食生活を心がけてみてはいかがでしょうか。
野菜やフルーツ、魚にお肉など、シンプルながらも美味しいものはたくさんあります。
グルテンフリーの食生活で避けるべきもの 早見表

グルテンフリーの食事をするためには、グルテンフリーのものを知るのと同じくらい、グルテンを含む食品を知る必要があります。
具材やレシピにもよりますが、上の表は一般的にグルテンを含む料理のサンプルです。
手軽に食べられるものや美味しいものが、たくさん含まれていますよね。
リストにはありませんが、調味料やドレッシングにもほぼ小麦は使われているので、サラダや煮物も食べられないものが多くあります。
そうなると何を食べればいいのかわからなくなってしまうかもしれませんが、素材を味わう料理ならオプションも増えるはず。
あまり細かくグルテンフリーをする必要がないのであれば、リストにある食べ物をカットするだけでもグルテンの摂取量はだいぶ減るはずです。
グルテンフリーを始めるために必要な食品5つ
いくらグルテンフリーといっても、野菜や果物ばかりを食べ続けるわけにはいかないですよね。
グルテンフリーをするためには自炊をする機会が多くなるので、ここからは最低限そろえたいグルテンフリーの食品をご紹介します。
手始めに必要なのは、たったの5つ。
お米はグルテンフリーの生命線

グルテンフリーの食生活で大活躍するのがお米です。
白米、胚芽米、発芽玄米、玄米などのお米は全てグルテンフリー。
ただし「雑穀米」の中には大麦を含むものもあるので、その点はご注意ください。
どのスーパーでも簡単に手に入れることができるので、まずは主食をお米に変えるところからグルテンフリーを始めてみてはいかがでしょうか。
米粉で可能性は無限大
「米粉」もグルテンフリーをする上での必須アイテムになります。
大きめのスーパーで買えるので、米粉も比較的手に入れやすいグルテンフリー商品の一つです。
小麦粉の代わりに大活躍な米粉は、パンやパスタとしても売られているので、ぜひ色々試してみてくださいね。

しょうゆを変えるだけで料理の幅が広がる

和食がグルテンフリーにならないのは、主におしょうゆに小麦が使われているからです。
言い換えれば、おしょうゆさえクリアしてしまえば食の幅もグンと広がるので、グルテンフリーのおしょうゆはぜひ揃えたいものの一つです。
味も使い方も普通のおしょうゆとあまり変わりません。
おしょうゆが作られる過程でグルテンは分解されるとの見解もあるため、おしょうゆを除去するかどうかは考え方次第なところもあります。

ダシを揃えてお料理上手に

おいしい料理はダシが命。
かつお節や昆布自体はグルテンフリーですが、顆粒だしを使う場合は小麦成分を含むものもあるので注意が必要になります。
値段の高いものほど素材のみを原材料に使う傾向があるので、ネットや専門店でお気に入りを探してみるのもおすすめです。
お味噌の原材料も要チェック

おしょうゆに次いで、日本食では欠かせない調味料の「お味噌」
汁物や味噌焼きなど活躍の場面も多いお味噌ですが、麦味噌には大麦が使われているため、グルテンフリーにはなりません。
ただ、麦を使わない米味噌も一般的なので、比較的グルテンフリーのものも手に入れやすいと思います。
グルテンフリーは身体に悪い?美容と健康について
「そもそもグルテンフリーは健康にいいの?」
小麦アレルギーやセリアックの人はグルテンフリーをする以外にオプションはありませんが、それ以外の人にとってはグルテンフリーをするメリットを知りたいところですよね。
実はグルテンフリーが健康に良いという医学的根拠はまだ証明されておらず、極端にかたよった食事をすることは、逆に体に悪いとする報告すらあります。
➡️ 参考:世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事
それではなぜ、美容や痩せるためのグルテンフリーダイエットが流行ったのでしょうか。
グルテンフリーでジャンクフードやスイーツの摂取量が減った

「素材本来の形に近いほどグルテンフリーになり、調理や加工されるほどグルテンが使われる可能性が高まる」
これがグルテンフリーの原則です。
そのため、グルテンフリーを始めると、ジャンクフードやスイーツ系がほとんど食べられなくなります。
その代わり野菜やフルーツは全てグルテンフリーなので食べ放題。
ジャンクフードの代わりに野菜を食べることで食生活が改善され、体重減や美肌などの効果が現れたしても不思議はありません。
また、グルテンフリーでは原材料を確認する必要があるため、添加物などへの意識も自然と高まるので、グルテンフリーがきっかけで健康的な食生活になる人も一定数いると思います。
グルテンフリーは低カロリーではないけれど…

野菜もフルーツも食べ放題のグルテンフリーですが、やりかたによっては決して健康的な食事というわけではありません。
糖質や脂質を制限したダイエットとは違い、砂糖も肉も全てグルテンフリーです。
それでもグルテンフリーをすることで体重が減った人がいるのはなぜなのかを考えた時に、手軽に食べられるものが少なくなったことで、単純に摂取カロリーの総量が減った可能性があげられます。
残念ながらグルテンフリーのパンやお菓子は、手に入れにくいのが現状です。
気軽に買えるものが少なくなったことで間食が減り、その結果体重が減った可能性は十分に考えられます。
実はグルテン不耐性・セリアック・小麦アレルギーだった

パンを食べるとなぜか頭がぼーっとする。
お腹が痛くなる。ガスが溜まる。
現在何かの診断がついていなくても、体がグルテンに反応している可能性はゼロではありません。
遅延性アレルギーやセリアック病は、症状が出るまでに数日かかるケースもあるため、無自覚のままグルテンを摂取し続けている人もたくさんいると思います。
その一部の人にとっては、グルテンを除去するメリットは少なくないので、疑わしい場合は一度医療機関を受診してみてもいいかもしれません。
病院に行くほどでも…という場合は、2週間グルテンを極力抜いた食事を試してみるのも一つの手。
グルテンフリーの食事で体調が改善するようなら、グルテンが体にあっていない可能性があります。
グルテンフリーについて まとめ

最初はむずかしく感じるかもしれませんが、最近ではグルテンフリーも広まってきているので、食べられるものもどんどん増えています。
必要なのは情報と経験の2つのみです。
たのしく、おいしく、シンプルに。
この記事が、そんなグルテンフリーを見つけるきっかけになればうれしいです(^^)